チェスタトン「新ナポレオン奇譚」を読む
滑稽だとさみなされているものの中に神聖さを見ることこそが
王権に対する真の叛逆である、というのはわからないでもない。
滑稽さは往々にして作為でありうるが
真摯な感受は作為でできるものではない。お芝居ではないのだから。
それを笑いのめし、諧謔化する精神への叛逆から
時代性の支柱になりうる作品が生じるのだとすれば
触れるものみなバターナイフで切りつけるようなこの時代に
聖化されるものはあるのか。あるとすればそれは何か。
若さはもはや聖なるものではない。それはなぜだろうか。